いよいよ本日開催のK-1MAX日本トーナメント大会ですが、正直、一番楽しみなのはトーナメント戦ではなく、今大会から正式に階級設定された63kg級の2カード、渡辺vs.DJ.taikiと村浜vs.小宮山です。

まず渡辺vs.taiki。

taikiはキックボクシングの試合経験もある打撃系総合格闘家ですが、キックでは無名選手相手に2勝しただけだし、DREAMでは所との試合で自らが眼窩底骨折を負うなど、打撃の強さが伝わってきません。

さらに、所戦を見る限りtaikiはかなり前傾姿勢のファイトスタイルなので、渡辺が嫌うローキックを得意とする選手ではないでしょう。と言うか、ローキックで勝ち逃げしようなんてつもりもないでしょう。そんなショボい試合はしないからこそ、taikiにチャンスが回ってきたのです。

とは言え、パンチの専門家である渡辺に勝つのは至難の業でしょうが、山本篤がパンチで圧倒されたような無策な負け方はしないはず。どんな驚きを与えてくれるか期待しましょう。

一方の渡辺は、K-1に絶対的な価値を感じていないところが魅力の選手。彼のブログに書かれている肩書きは、「総合格闘家」と「第52代ボクシングフェザー級日本王者」であって、「K-1ファイター」との表記は見当たりません。“K-1内K-1に価値は無し”という私の観点からしても、渡辺のような既成のK-1スタイル的な戦い方を否定するような選手は要注目です。

と言うか、「○○選手はローキックが鬼のようだ」とか喜んでいるのは極一部のマニア気取りのファンだけであり、キックボクサー然とした選手なんて求められていないんですよ。キックボクサーとして強い選手は何人もいるし、そっちから頭を下げてK-1のリングに上がろうとして参って来るから。

K-1ライト級が60kgではなく63kgに設定されたことでもわかるでしょう?キックボクサーだけでは成り立たないんです。個性豊かで決定力のある総合の選手が不可欠である実状。

誰も彼もが前足でぴょんぴょんことリズムを取って、お約束のローキックの蹴り合いからスタートして・・・みたいな予定調和的な試合なんて誰も見たくありません。そんな退屈な試合が続いたらテレビ放映はたちまち打ち切られるでしょう。

そんな危機感を強く抱いているのが、K-1MAX黎明期に活躍した村浜。今回は適正階級での試合となりますが、勝つことを至上命題とせず、とにかく面白い試合をしなければK-1に明日は無いといった趣旨の発言をしています。シュートボクシングというジャンルを背負ってきた村浜ならではの説得力ある警鐘。

これに相手の小宮山がどう応えてくれるか。勝った小宮山が評価を下げるような試合にはなってほしくないですね。