Krushにおいて特別試合として行われた郷野聡寛と山本優弥の一戦。私はこのカードがあったからこそチケットを買いました。

ところが、とんでもない糞試合に終わりました。郷野が2kgオーバーで計量を終えたことは百歩譲って良しとしても、試合内容が拙かった。

郷野は常時コーナーポストを背にしていたため、山本はローキックを蹴りにくく、蹴り足がロープに引っ掛かるシーンも見受けられました。

そんな風に山本が攻めあぐねる隙に小手先のパンチやミドルキックを打ち込む郷野だが、山本の顔とわき腹が赤くなった程度。

その消極的なスタイルを老獪と呼んではいけない。Krushトーナメントを制した梶原のように、相手の持ち味を引き出した上で巧みに勝利したならば老獪と表現しても良いだろうが、郷野は安全圏内に隠れていただけだから。

わずか3ラウンドの試合でそれをやってどうするよ。10ラウンドマッチならば相手のスタミナロスもあって攻め込むチャンスが出来るだろうけれども。

判定で山本勝利が告げられた後のリング上も見るに耐えない光景だった。「いや〜、郷野さんの巧さにやられました」とばかりに頭を下げる山本。その頭を先輩ヅラして撫でる郷野。山本、お前はK−1ワールドMAXで3位に入賞した男だぞ。郷野相手に何をやってるんだ?閉会式における集合写真撮影時も、山本はトーナメント出場者らの背後からちょろちょろと顔をのぞかせる愛嬌ぶり。糞試合をしたことへの反省など微塵もないのでしょう。情けない。

私自身も情けなかった。昔だったら退場通路で郷野に罵声を浴びせるところだったろうが、それを実行しなかったのだから。

歳をとったせい、あるいは青コーナーから遠い席だったせいもあるかもしれないが、Krushの会場の空気がそれを許さなかったと言うべきか。

郷野を外敵として認知していない。と言うか郷野なんてどうでも良いといった空気。女性ファンが卜部や才賀紀左衛門を見ては「カッコイー!カッコイー!」と叫んでる、格闘技会場らしからぬ雰囲気に私は飲まれました。もし郷野に罵声を浴びせたりしたら、キチガイ扱いされていたことでしょう。

あの日のKrush会場において、郷野の存在感はゼロ。郷野自身は山本を凌駕するパンチのテクニックを披露できて満足だったのでしょうが、それは単なるオナニー行為。

興行の中では完全なる敗者でしたよ。2千人超の観客のほとんど誰もが郷野の試合をスルーしたのですから。

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