<クロード・パトリック(判定3−0)ジェームス・ウィルクス>
黒いハゲと白いハゲの戦い。どこをどう楽しめば良いのか困り果ててしまうようなカードだった。

徐々にパトリックがグラウンドで優勢になったが、だらだらと判定にもつれ、試合終了と同時に客席からはブーイング。日本のファンにはほぼ初お目見えであろう両者だったが、悪い印象を残したな。え?日本のファンなんて眼中にないか?うん、そうか。



<シェイク・コンゴ(ドロー)トラヴィス・ブラウン>
コンゴは、シークからチークに、そしてシェイクに呼び名が変わった出世魚ファイター。いやいや、日本人が読み方を解ってないだけ。WOWOWがシェイクと表記してるのだから、今後コンゴはシェイク・コンゴで統一しよう(笑)

試合の方は、序盤は体格差を利してブラウンが押し気味だったが、中盤以降はコンゴがパンチを当て始め、ドロー判定。

私はブラウン優勢の時間帯から、コンゴが勝つだろうと思いながら観戦していた。それは、試合開始早々にブラウンが右ストレートを繰り出した際に、コンゴが左に回ってジャブを入れたシーン等で見られた軽やかなフットワークでも分かるように、技量的にはコンゴが上なのは明らかだったから。

しかし、体格差があったとは言えコンゴだって193cmある訳だから、終盤に盛り返しきれなかったのは残念。コンゴの今後は見通し明るくはないだろう。先が見えた印象だ。



<マイク・パイル(判定3−0)ジョン・ハサウェイ>
解説で言われていたように、アリ地獄のように相手を自分のペースに引き込む戦い方がパイルの信条らしいが、第2ラウンド中盤に三角絞めのような要領でハサウェイの頭部と腕をロックして無防備状態の顔面にコツコツとパウンドを打ち込み続けた攻撃は、まさにパイルの真価が発揮されたシーンと言えるのだろう。

それと同じ攻撃を青木真也がやったら、かなり陰湿に見えるだろうなぁと思いながら観てしまったw

終始パイルのペースで試合は進み、14戦無敗だったイギリスの超新星に初黒星を着けた。着けてしまったと言った方が適切か?



<カルロス・コンデット(KO)ダン・ハーディー>
ご当地ファイターのハーディーは大声援に後押しされ、ハイテンションでコールを受ける。日本のファイターから見たら羨まし過ぎる光景ではないか?団体の存続が危ぶまれ、招待客ばかりの冷えた会場で試合するのは辛いものだと思う。

試合は静かに打撃を出し合う形から始まり、徐々に打ち合いが展開されると両者の左フックが交錯。コンデットの精度が上回り、ハーディーが失神KO負け。レフェリーは間に入るのがワンテンポ遅かった。

ハサウェイに続き、イギリス人選手2連敗となってしまった。



<マイケル・ビスピン(判定3−0)秋山成勲>
秋山って、こんなに足の運びが悪い選手だったの?ってのが正直な感想。せっかく攻勢に出ても両足が揃った状態で前進するから、相手の動きについていけないし、決定打も出せない。相手の攻撃に対しても踏ん張れない。

試合前にビスピンが「私の方が大きくて、力も強く、スピードも速い」と語っていたが、そのまんま予想どおりの展開になり、ビスピンの判定勝利となった。序盤に秋山の右もヒットはしたが、失速して挽回されるのも完全に想定内だった。

イギリス人選手が2連敗した後をしっかりと締めたビスピン。メインイベンターらしい仕事ぶりだった。

秋山にとっては非常に厳しい相手だった。

UFCと日本の格闘技の大きな違いは、スタア候補の扱い方。日本は温室栽培するが、UFCは寒空の下での露地栽培。厳しい相手を当てて、それを乗り切った者だけが富と栄誉を勝ち得るのだ。

2連敗して後が無くなった秋山成勲。あるいはUFC初黒星を喫したジョン・ハサウェイ。この2人がこれからどう巻き返すかが、シェイク・コンゴもとい今後のUFCを観戦する上での一つの見所になるだろう。