K-1MAX日本王者の長島“自演乙”雄一郎がプロレスデビュー戦を行ったブシロードプロレスリング興行がスカパーのファイティングTVサムライで中継されたので、私は数日遅れの再放送を録画した。 


ところが、録画機のハードディスク容量が途中で満杯になり、メインイベントの前で録画が終了していた。 

第一試合の男色劇場や中西の試合は見れたが、肝心の自演乙の試合は見れなかったのだ。 

しかし、不思議と落胆しなかった。 

それはなぜか? 

スポナビで試合結果を知っていたからか? 

いや、違う。 

オープニングとして行われた全選手入場の際の自演乙の表情を見た時点で、メインイベントは緊張感を著しく欠く試合であろうことが想像できてしまったからだ。 

気分が悪かったなぁ。いかにもプロレスを楽しんじゃうぜ!的な意気揚々とした自演乙の笑顔。 

第一回猪木ボンバイエでプロレスをやった時の宇野薫とバス・ルッテンに匹敵する腹立たしさだった。 

また、番組冒頭のインタビューでも語っていたとおり、格闘家になる前はプロレスラーになることを夢見ていたらしい自演乙だが、全くプロレスに対するリスペクトが感じられない。 

プロレスラーになるのが本当に夢だったならば、まずはリングの設営から始めるべきじゃないですか?いきなりメインイベンターという扱いを受けて違和感を覚えませんか? 

それとも、今のプロレスならば自分がいきなりメインを張っても問題ない程度だと見切っているのでしょうか? 

その一方で意外な人物が真面目にプロレス愛を体現している場面を、毎度毎度のスポナビ格闘技の記事で目にした。 

全日本プロレスの後楽園大会を観戦中にヒールレスラーのTARUにしつこく毒づかれた宮根誠司が、客席から凄い剣幕で怒声を轟かせたのだ。

どのような経緯と人間関係があって今回の舌戦が行われる段取りになったのかは知る由も無いが(社長と懇意なのか?)、この場面で少しでも緊張感に欠けるような振る舞いをしてはプロレスと客に失礼にあたると考えた宮根氏のセルフプロデュースだったのだと思う。その名のとおり誠実な男なのだろう。

表現者にとって表情は命。と言うか、気持ちが表情に現れるというもの。

K-1の試合がないから腰掛けとしてプロレスの試合に出場した自演乙。その程度の気持ちの表れが選手入場での笑顔なのだろう。





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