何も見えていない格ヲタ諸氏からは総合寄りの人間だと思われがちな私だが、実際にはK-1あるいは立ち技を愛する人間であり、私の本位を知る者からは、むしろ“戦う立ち技真理教”等と揶揄されたこともあったくらいだ。

そんなK-1寄りの私だから気に病んでいるのかもしれないが、総合格闘家に比べてK-1ファイターはひ弱な印象がある。どうも逞しさに欠けるのだ。

その要因はいくつか考えられる。

まず、体の作り方。試合の中で相手の体の重さを受け止めることがない立ち技格闘技の場合、筋量を増やすことはせず、スタミナ重視の細身の体作りをする傾向が強い。

にも関わらず、これまで立ち技格闘家が総合の試合にのこのこと出て行き、総合格闘家の圧倒的なパワーで一捻りされてしまったり、己の土俵であるK-1ルールの試合においても、相手の短期決戦ペースに引きずり込まれてKO負けしてきた。

安田に乗っかられて、喉に腕(かいな)を押し付けられてタップアウトしたバンナ。

赤子が手を捻られたかのように為す術なくヴァンダレイ・シウバにKO負けした岩崎達也。

“豪腕”マイク・ベルナルドが、“総合の豪腕”ゲーリー・グッドリッジにK-1ルールでKO負けした試合は、K-1自体の印象を極めてベルナール悪化させた。

“悪童”シリル・アビディがランペイジ・ジャクソンがK-1ルールで2連敗した試合や、武蔵がムサシにKO負けした試合は、アスリートとしての根本的なポテンシャルの違いを痛感させられた。

レスリングあがりのルーキーである高木健太に、元ボクシング日本王者の鈴木悟がパンチでKO負けした試合には驚かされた。

そこで今年の大晦日Dynamite!!に行われる2つの試合に注目。

まずは大和哲也vs.ウィッキー聡生のK-1ルール特別試合。

これまで総合格闘家の圧倒的なパワーで貶められ続けてきたK-1のイメージを回復するには、己の土俵での戦いで圧倒的な力量の差を見せ付けることは最低条件である。

圧倒的というのは、もちろんKO決着だ。K-1ファイターがK-1ファイターらしく外敵を倒す。それにはKO以外あり得ない。

しかし、相手はウィッキーだ。パワーを比較すれば、K-1MAXの-70クラスに匹敵するかそれ以上のものを持っているであろうウィッキーをKOすることは可能だろうか?

さらに、大和は強い割にはパンチを不用意に顔面に貰う傾向がある。7月の-63決勝トーナメント1回戦では、裕樹をKOで葬ったものの、序盤には左ストレートを数発顔面に打ち込まれていた。

そしてウィッキーは変則のサウスポースタイルだ。大和がウィッキーの左を警戒するところに、いきなりの飛び込み式右フックあるいは右ボディブローを被弾してしまう危険性が考えられる。

また、至近距離でコンパクトにコンビネーションを決める大和に対して、ウィッキーは完全に射程外から機会を伺うスタイルゆえ、大和としては決して戦いやすい相手ではないだろう。

果たして3分3Rの限られた時間の中で、-63王者のコンビネーションパンチがK-1初挑戦の格闘猿を捕縛することが出来るだろうか?

こうして考えてみると、K-1ファイターが圧倒的な強さを見せ付ける云々の次元ではなく、勝てるかどうかの逼迫した試合になりそうな気がする。

勝ち負けにあまりこだわらないライトなK-1ファンの皆さんも、自分自身がK-1そのものである私と同じくらいにドキがムネムネした状態で観戦することになるだろう。一般大衆にK-1の恥を晒した一昨年大晦日の借りを返す時。その時間を共有しようじゃないか。


<過去のウィッキー関連エントリー>
ウィッキー聡生に危険な香り(09.3.4)

web新のDREAM.7スカパー観戦記(09.3.8)

RISE福岡大会の提案(10.8.3)


もう1試合は自演乙vs.青木真也のミックスルール。

過去に行われたミックスルールの内容やカード発表会見時の当事者らの発言を鑑みる限り、K-1と総合ルールを交互に行うことが予想されるが、第1ラウンドはK-1ルールになることがお約束であることが、全局面に対応できる総合格闘家と比較してのK-1ファイターの脆弱さを物語っている。

自演乙は「第1ラウンドにK-1ルールを飲んでくれた青木選手に感謝します」なんて語ってる場合じゃないって。第1ラウンドがK-1ルールで行われるってことは、総合格闘家でも渡り合えると思われてるってことだからな。それは即ち、自演乙が、そしてK-1が格下に見られているってことだから。

だらしないったらありゃしない。悔しかったら第1ラウンドで青木を仕留めて見せることだな。

まぁ、それも難しいでしょう。技のかけ逃げで試合が中断される時間を差し引けば、正味1分半程度しか時間はないだろうから。



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