○ミノワマン(一本 チョークスリーパー)イマニー・リー×
一仕事終えましたよって感じのハグが印象悪かったイマニー。

それがスーパーハルク路線の弱み。ミノワマンにはそれなりの理念はあるけれど、相手の外国人選手には何にもない。日本に金を稼ぎに来ただけ。

ここを改善しないと、この路線が飽きられるのも時間の問題ではないか?



○大沢ケンジ(2-1)前田吉朗×
アグレッシブな試合だったとは思いますが、思い入れのない選手同士の試合は見ていて疲れる。

しかも、最終ラウンドになってスタンドのお見合いが目立つようになったのが残念。互いに打撃は出していたけれど、あと一歩の踏み込みがないので、私に言わせればあれはお見合いですよ。言うちゃ悪いけど。

判定は2-1で大沢ケージもといケンジ。顔は端正な伊達男ですが、スタアにはなれないなと思いました。退場シーンを見ていて。

セコンドと「あれすごい効いてましたよね。KOできましたよね。スミマセン」などと話し合ったり、通路に近寄ってきた観客席の関係者たちと身内トーク全開。

こんな選手には乗れませんよね。



○宮田和幸(判定2-1)大塚隆史×
「ボディビルの品評会じゃねぇっての」

「オヤジ狩り。フェザー級の奴ら、みんな30何歳だ?」

煽りVでは大塚の暴言全開。面白い。

試合も暴言の勢いどおり、大塚がケージの真ん中に居続ける展開。宮田は第1ラウンド中盤から発汗が目立ち、口も開き気味になる。

しかし、第2ラウンド序盤、宮田のジャブがヒット。ジャブが当たると選手はペースを掴み始めるもので、宮田が両手を広げて距離を積める姿にそれを見て取れました。大塚は鼻血。

第3ラウンド。両者とも体力の消耗が目立つも、単発ながらパンチを当て合う。

この試合の一番面白かったところは、第3ラウンド残り1分半あたりに宮田がバックを取った場面。解説席で高阪氏や青木らが、宮田が意地でジャーマンに持っていくかと沸き立ったところ、そのとおり宮田がジャーマンの体勢に入った場面。不発に終わったが、オリンピックレスラーとしての宮田の魅力が静かに爆発しました。

試合は終始互角の展開でしたが、積極性が評価された宮田が2-1で判定勝利。私はオヤジとして、また茨城県民として嬉しく思いました。

勝ち名乗りを受けてケージを出た宮田に前田日明が歩み寄って握手。果たして前田は宮田に対して何をもたらしているのか?宮田は前田と絡むことで何を得ようとしているのだろうか?




○西浦“ウィッキー”聡生(TKO)所英男×
煽りV。恐ろしいまでに鋭い眼光のウィッキーですが、話す内容は至ってまともと言うか正論。自身のトリッキーな動きについては、あれは奇をてらったものでも何でもなく、力まない動きを心がけた結果、あのような脱力スタイルになったとのこと。また、観客はアマチュアみたいな試合が見たいわけではない、普通じゃないものを見たくて会場に足を運んでいるとも。

一方の所はいかにも普通の青年。しかし、ファンの夢を背負う人気者。いかにも普通の青年然とした所が、海外列強らと渡り合う姿も“普通ではない”見世物と言うことか。

また、所が放った「修斗から来る選手には負けたくない」と言う強い意志の込められた一言が印象的でした。

そして第1ラウンド中盤、フィニッシュは唐突に。ウィッキーの右フックが側頭部に当たると、所は倒れて亀状態に。そこをウィッキーがバックからタコ殴りしてレフェリーストップ。

レフェリングが中途半端だったのは要改善点。試合を止めようと見せかけ、ウィッキーに攻撃の手を止めさせたが、即ストップとはならず、一呼吸置いてからレフェリーストップを宣言。あれは何だったのか?ここで所にあっけなく負けられては困ると言う意思が働いたのかと勘ぐってしまいたくなるキレの悪いレフェリングでした。

フィニッシュに繋がったウィッキーのパンチを、解説青木は「K-1の大月選手が得意にしているパンチ」と表現。テイクダウンを恐れずに豪腕を振るうウィッキーが本当に恐ろしく見えた試合でした。



○山本“KID”徳郁(TKO)キコ・ロペス×
やっぱ山本はパンチの選手だわ。右のフックでキコの顎を打ち抜くと、金網際のパウンドで相手を半失神に追い込みレフェリーストップ。完勝でした。

この試合のKIDは、ここしばらくの試合とは大きく様変わりしてました。

ひとつはレスリングシューズを履いていたこと。これはマットをしっかり蹴ることで、パンチとタックルの精度あるいは強度を高めるための措置。ちなみにK-1と違って、シューズを着用しても蹴りOK。

もうひとつはKIDのスタイル。これまでのムエタイスタイルに比べて前傾姿勢になり、パンチ主体だった以前のような野生味が感じられました。

この2点が大正解だったように思います。回り道したかもしれませんが、KIDはこのスタイルに落ち着き、これから勝利を重ねるんじゃないでしょうか?

一方のキコ・ロペス。HIROYAとの試合は見たはずなんですが、私は何も印象が残っておりませんでした。しかし、今日のKID戦を見る限り、決して弱い選手じゃないですね。むしろ危険な打撃を放つ選手。DEEPあたりで使っても悪くない好選手だと思いました。

ちなみにこの試合は60kg契約。フェザー級からバンタム級を分化させる予定があるのでしょうか。スタア選手であるKIDを生かすにはそれがベターだと思います。フェザー級はKID抜きでもやっていけるだけのタレントが揃ったし、二回りも大きい相手と戦うのはいくらKIDでも厳しいから。

そのことを考えると、70kgのK-1MAXで結果を残してきたKIDは凄い。この偉業は何者も越えられない。たとえ金原正徳がKIDに勝利したところで、それは競技の枠内で勝利したに過ぎず、KID越えとはならない。そこは強く主張しておきたい。



休憩明け
王者・青木と挑戦者・川尻によるDREAMライト級チャンピオンシップが7月大会で行われることが発表されました。

青木のマイク「シャアッッ!!・・・以上です」は、かなりはずした印象。川尻も噛んだ。

この試合って、今見たいですかね?対アメリカというアングルをぼやけさせてどうするのって感じ。

青木が防衛しようが、川尻が奪取しようが、その先にはアメリカがあるじゃない。強大な敵が控えているじゃない。

あ、それが良いのかな?勝った方が敵陣に乗り込む形。



○高谷裕之(TKO)ヨアキム・ハンセン×
土浦のヤンキー柔道家(煽りVより。最高!)にボコられた高谷の仕切り直しの一戦。

解説の青木が「高谷選手は打撃の選手と思われがちですが、実はタックルを切るのがとても上手い選手なんです。あまり知られていませんが」と語っていましたが、高谷のタックル切りはビビアーノ戦で満天下に知らしめてあるはずですが。

試合は高谷がハンセンを完全にKO。右ストレートでぐらつかせたところに右のフックがジャストヒット。再生映像で見ると簡単に当てられるように錯覚しがちですが、あそこまで完璧に追撃するのは難しいですよ。ミット打ち練習の質が高いのでしょう。

高谷、素晴らしい。負けを予想した私としては高谷に謝らなければなりません。ごめんなさい。

試合後のマイクでは「大晦日に情けない試合をしてしまったが、これから自身とDREAMの看板を取り戻す」と逆襲宣言した高谷。フェザー級タイトルマッチも良いが、小見川とのリベンジマッチを私は見たい。今日の結果を受けて、激しくそう思うようになりました。

チバラキ県民同士のクソッタレ劇場に期待したい。



○ハレック・グレイシー(判定3-0)桜庭和志×
たかが煽りV。されど煽りV。

「十年目の桜庭狩り」

このフレーズには一本取られたなと思いました。このような見方は、本来は私が『K-1心中』の中で提示すべきものでしょうに(何様だよw)。

試合は序盤から大きく動きました。打撃が交錯したか何かで桜庭が転倒したところにハレックが突っ込んできてバックを取ったが、そこから桜庭がアームロック狙い。逃げられはしたが、桜庭の世界を堪能できた。

桜庭はボディブローも冴えていた。対するハレックはポジショニングで優位に立つ戦い方。

そして迎えた最終第3ラウンド。金網近くのグラウンド状態で桜庭が上から攻める展開で事件が発生。レフェリーが何やらハレックの下半身をいじり始める。攻防の最中にこいつは何をやってるんだ!?と不思議に思いましたが、どうやらハレックのトランクスがサポーターごと脱げそうになったようで、レフェリーはそれを引き上げたらしい。

しかし、そこで試合が一時中断すると、元の体勢に戻ったのかどうかも曖昧に試合再開。あれで桜庭の勝機が消えたように私は感じましたが、皆様はいかがでしたか?

まぁ良く言えば、青木が言ったように一悶着あった方が桜庭vs.グレイシーらしくて面白いとなるのでしょうが、私としてはペニスが見えようが玉袋がモロ出しになろうが、試合を続行して欲しかった。

そして勝負は判定に持ち込まれ、フルマークでハレック勝利。桜庭が負けたとなれば、桜庭vs.グレイシーに時間制限のある試合は意味を成さない。これが正しい見方。



○ニック・ディアス(一本 腕十字)桜井“マッハ”速人×
この試合の意義を考えると、金網際の攻防で一本取られたってのが痛恨だったように思います。

ニッポン、連敗。

メインイベントの内容と結果は非常に重いもの。ミノワマンにKID、ウィッキーら今大会の勝利者らがケージに集った閉会式が虚しく感じました。