しばらく読んでいなかったターザン山本氏のコラムをまとめて読んだので、今回も同氏のコラムの引用からスタートします。

今回は、昨年11月の『Krush・GP』準決勝として行われたナオキックvs.“狂拳”竹内祐二の劇的な結末について。

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 2R、2分27秒、KOで石川が逆転勝ち。竹内のパンチが先に石川の顔面にヒット、目の上を切ってしまう。

 ところがそのあと石川は瞬間的に飛びヒザ蹴りを爆発。もしそれがあと5秒遅かったらレフェリーストップになって石川は負けていた。

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準決勝をこのような壮絶なフィニッシュで制したナオキックですが、さらに8月に行われた1回戦と2回戦も劇的な勝ち方だったんです。GBRの試合レポートをご覧ください。

私が説明を加える必要もないでしょう。強いて何かするならば、トーナメントの一連の結果をまとめることくらいか。

■8月14日Krush・GP開幕戦

1回戦 vs.TURBO
(第2ラウンドに右フックでダウンを奪われたナオキックが、最終第3ラウンドに猛反撃。ヒザ蹴りを受けたTURBOはこめかみから血を噴き出し、最後は右ハイキックでナオキックの大逆転・完全KO勝利!)

2回戦 vs.水落洋祐
(第1ラウンドに水落が左右のフックでダウンを奪取。しかし、その直後にナオキックの右ハイキックがさく裂し、水落が前のめりにダウンして試合終了。同日の2試合連続での大逆転・完全KO勝利!)

■11月2日 Krush・GP決勝戦

準決勝 vs.“狂拳”竹内裕二
(第2ラウンド、竹内のパンチで左目上をカットされるも、飛び膝蹴りでナオキックが逆転・完全KO勝利!)

決勝 ナオキック、無念の負傷棄権

以上、ナオキックの今年中盤〜終盤にかけての活躍を簡単にまとめてみました。私はボキャ貧なんで「凄すぎる」くらいしか言えませんが、まさにKOの神が降臨したかのような興行だったでしょうね。生観戦できた人がうらやましい。

ところがです!昨日開催された『Krush.5』に出場したナオキックは、“K-1からの刺客”ジョン・デニスと対戦し、なんと1ラウンドKO負けを喫してしまいました。

「これじゃ何も始まらない」とはナオキックの試合後の弁ですが、そんなことないでしょう。この敗戦からの復活をファンは期待してるんです。

何せ昨年3月の『Krush.2』では大月の右ストレートでKO負けしたけれども、そこから復活して、前述の大逆転勝利を量産したのだから。

ただ、今回の『Krush.5』のカード全体を見渡すと、ほとんどが無名選手であり、メジャー進出を目指すナオキックのための大会と言う趣が強かったわけで、そこでの惨敗についてはメインイベンターとして深く反省してほしいところではあります。

まぁ、そんなことは他人に言われるまでもないでしょうから、それよりこの写真をご覧ください。負けても色気が漂うこのクオリティ。この男は間違いなく何かを持ってますって!

そしてナオキックは、キックボクシングの枠に収まらないファイターでることも魅力の一つ。スポナビのインタビューではこんな風に語ってます。

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「僕もファンとしてプロレスも格闘技も見てきてるんで、お客さんがどんな感覚かは分かりますよ。“石川が、よく分からない相手とやる”っていう。こういう試合で見せるべきなのは、ホームの選手が圧倒的な力で勝つ姿でしょうね。相手が実は厄介だとか、そういうのはこっち側の都合でしかないですから。今回のお客さんは、相手がどうこうじゃなく“石川直生の試合が見たい”と思って来てくれる。そういう人に、判定は見せられないですよね。KO勝ちですよ、やっぱり。」
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これだけの観客論を理解してるキックボクサーって珍しいんじゃないでしょうか?

客に甘えてるのが一般的なキックボクサーやボクサー。身内の応援団に良い格好を見せたいだけで、一般の客なんてお構いなし。だから人気なんて出るわけがない。

逆にナオキックのような“わかってる”ファイターは応援したくなりますよね。今年も復活して、劇的なKO勝利を重ねてほしいと思います。