前々回記事『K-1SPEEDとキックボクサーのジレンマ』の結びで、R.I.S.E.の大会が低調に終わった要因として立ち技格闘技の競技人口の少なさ、裾野の狭さを指摘したところ、10数年の歴史しかない総合格闘技に比べて立ち技は歴史も長く、競技人口も多いのではないか？というご意見を頂戴しました。

そこで、そのご意見への反論という次元ではなく、K-1という競技がどれだけの種目、競技人口の上に成り立っているのか考えてみました。

たしかにK-1のKは空手、キックボクシング、拳法、カンフーなど立ち技格闘技の頭文字のKということで、多くの立ち技格闘技がK-1の裾野に広がっているような印象を受けますが、実際にはどうでしょうか？

K-1で活躍している選手のほとんどはキックボクサーです。これはK-1とキックのルールが酷似しているというか、キックボクシングがK-1の原型になっているからです。

逆にキック以外の立ち技格闘技はルールが全く違うわけで、それらの競技者がK-1に出る場合には、通常とは別枠でK-1対策のトレーニングを行わなければ通用しません。最近では極真のグラウベやテコンドーの尾崎、ボクシングのTATSUJI、前田などが活躍していますが、当然のことながら彼らがそれぞれの基盤となる競技の練習だけをしてK-1に出場したわけではありません。

このことを鑑みると、K-1を支える競技人口は決して多くないと言わざるを得ません。となればK-1が引き続き存続するために必要なことは、人材確保手段のシステム化に他なりません。

過去には新空手の重量級王者がジャパンGPに自動的に出場できるシステムがありましたが、いつの間にか廃止になってしまいました。この大会に勝てば無条件でK-1に出れる！！という大会があってしかるべきだと思います。先般開催されたトライアウトのような茶番劇をする暇があるのならば、まずは新空手をはじめとするアマチュア競技との連携を密にし、より多くの人材を確保する努力をすべきでしょう。

お笑いタレントだから、プロレスラーだから、元プロ野球選手だから、、、といったお茶の間向けの理由だけで人材を登用する競技が他にありますか？過去には藤本を輩出したモンスターチャレンジのような大会を開催していたのですから、人材確保の面で後退している現状を憂いてしまいます。

一方でHIROYAや藤のような十代前半の前途ある若者がK-1を目指してくれるのは喜ばしい限りです。このような有望な若者が現れ続ければ、K-1の存続に危険信号がともることは無いでしょう。彼らの夢を壊さないためにも、我々が第三者評価機関としてK-1を見守り続けましょう。