スリム新空手に自衛隊の女子隊員が練習に来ていた。体は細かったが、自衛隊だけあってやる気はある感じだったので、時々私も声をかけて悪い点を指摘していた。

それでな、驚いたことがあってん。5年以上過ぎた今でもようけ覚えてる。

うちが「「結婚することになりました」言う話をジムでした日、その女子隊員といつものようにスパーリングしたんや。自衛隊とはいえ女子相手やからかなり力は加減してるんやど、どうしてもスナッピーなジャブが当たる。当てざるを得ない。相手のためにならんから。けど、当たっても頑張るのが彼女やったんけどその日はなんと泣き出してん。

うち、どないしていいんか分からずオロオロしてしまってん。他の人もあまりに唐突な出来事で「休んだら」ぐらいしか声をかけれへんかった。

そして彼女は全体練習が終わるより早くジムを後にした。うちが彼女の姿を見たのはそれが最後やった。結婚が決まったもんでうちがジムに行かなくなったけん、その後彼女がジムに来てたかどうかもわからへん。

いつもと変わらんジャブを当てただけやのになんで泣いたんか・・・。うちが結婚するいう話を聞いたのがショックやったんかな。今まではうちのこと好きやったからパンチもろても我慢しとったんかな。

自意識過剰な回顧録ですんまへん。

今でも胸が締め付けられる言うたら大げさやし、彼女の顔もようけ覚えてへんけど、ジムを出て行く後姿が脳裏に焼きついてんねん。

なにか声をかけられへんかったんかと後悔しとる。