「これは捨てるな!」「モノに余計な思い入れを持つから捨てられないんだよ!!一番強いのは相撲なんだよ!!」と、朝から妻と喧嘩をしながら自宅の大掃除をしているうちに、戦極が始まってしまいました。

どうやら前半戦(ジャケット、立ち技、ジョシカクまで)はサムライで放送されるようです。



<○山田(TKO)キム・イサク×>
戦極→総合格闘技連盟→レスリング協会の流れでパンクラチオン世界選手権に出場したと思われる山田。ほとんどド素人が集まったらしいその世界選手権で人知れずチャンピオンになっていた彼がオープニングマッチに出場。

ジャケットマッチルールということで、どんな格好をして戦うのかと注目していたが、家政婦の割烹着か「幸楽」の従業員かと言ったような滑稽な出で立ち。

相手はテコンドー選手のキム・イサク。

ジャケットルールということで、両者ともジャケットを着て試合をしたわけだが、テコンドーの選手はジャケットを使う技なんて持ってないだろ!なんだよ、このミスマッチは!!

案の定、試合開始早々にグラウンドで有利なポジションを奪った山田がタコ殴りを続けてレフェリーストップ勝利。

ジャケットルールの面白さが全く見れない試合だった。



<○清水(判定2-1)杉田×>
この試合もサンボvs.空手という無意味なジャケットルール。圧倒的不利が予想される空手家の杉田には、コーデュロイのジャケットを着用するくらいの開き直りを見せてほしかった。

しかし、試合は予想外のスプリットでサンビストの清水が辛勝。自信満々の表情で入場した割にはだらしない試合をしたな。



<○坂口(判定3-0)ジョン・ジンソク×>
終始試合を支配した坂口が、後半に膝蹴りを強烈にヒットさせ、ストライクポイントを獲得して判定勝利。ストライクポイントなんてものが設定されてるんですか。



<戦極キックボクシングルール>
戦極キックボクシングルールは、一切の掴みと肘打ちが禁止とのことで、いわゆるK-1ルールのようだ。

選手も頑張っているのは分かるんだが、それがなかなか結果に出ない試合も多かった。

しかし、戦極の舞台を借りて、普段はキックを観ない客にプロの試合を見せるわけだから、甘えは許されない。だらしない試合を見せたら、「やっぱりキックはつまらない」と断定されてしまうからだ。

いや、必ずKO決着を狙えと言うのではない。負けない試合をするなってことだ。

その観点から言えば、山内裕太郎には引退しろと勧告したい。だらだらだらだらと、まるでターザン山本の射精のように勢いのない試合をしやがって。それがまた予想通りだから余計に腹が立った。容姿も実写版ぬらりひょんみたいで、とてもじゃないが大舞台に相応しい選手ではない。

逆に素晴らしかったのは池井佑丞。第1ラウンド、ジャブをヒットさせてペースを掴みかけそうに思った矢先に、バタリと倒れるダウンを奪われたが、第2ラウンドから逆襲。パンチと膝蹴りで2度のダウンを奪い返してのTKO勝利を収めた。

相手の後頭部まで打ち抜くかのようなストレートパンチと首相撲を経由しない膝蹴りは、まさにK-1の申し子と呼べる選手。医者を兼業してるということでキャラも十分。顔もフットボールアワーの後藤風味で悪くない。来年のK-1MAX日本予選はエントリー確定でしょう。



<戦極ムエタイルール>
噂では相当凄い選手らしい藤原あらしだったが、こんなもんですか?いや、技術的にレベルが高い選手なんだろうなというのは分かったけど、あの試合で戦極のファンをキックに連れ帰ることができたと思うか?あんな、妖精が切り株の上で飛び跳ねてるような試合で。

山本元気の試合も凄かったが、大会場の散漫とした空気の中で行うにはもったいない。後楽園ホールでこそ行う価値がある試合ではなったかと思う。

それにしても山本に勝利したウィラサクレックは強かった。右が強い山本に対して、左の肘で顔面をガードしながら左縦肘を入れた技には驚かされた。

タイ人の肘と日本人の肘は全くの別物に感じる。日本人のそれは、プロレスでのエルボーパッドと大差ないソフトな感じがするが、タイ人は速さも切れも段違いだ。

立ち技唯一のヘビー級戦となったファビアーノvs.アンドリュー・ペックは大凡戦の末、肘で額を割られたペックがTKO負け。ペックは最初からやる気なしだったな。いかにも集中力に欠けたような表情を見せ続け、首相撲で投げられた際にはステラ海牛を思わせるような間抜け顔でニヤニヤしながら立ち上がった。今回の来日の主目的は試合ではなく、秋葉原で電化製品を買って帰ることなのだろう。



<ジョシカク>
女子ムエタイルールの神村エリカvs.ちはるは凄い試合だった。エリカを一押しですね。あれならば一般層に見せても恥ずかしくない。むしろ誇れる。男子の中には“ムエタイ寄りだからパンチが苦手”みたいな逃げ口上を使う選手がいるが、エリカのパンチは説得力があった。近い距離からフックではなくストレートを連打して追い込んだ場面は圧巻だった。

中井りんは涼しい顔で完勝。試合後はスタッフに何やら指示を出しながら宙返りとポージングを披露。バック転では片足ずつ滑らかに着地する姿が優雅だった。

最後の試合は、両者ともに入場はしたものの、アメリカ人選手が極度の脱水症状とのことでドクターストップの宣告を受けて試合を行わず。どうりで両者とも冴えない顔して花道を歩いていたわけだ。