格闘技のDREAM.16で行われた青木vs.マーカス・アウレリオ戦が判定決着に終わったことを不満に感じたファンは多かったはず。

私もその中の一人だ。

これまでに数々の日本人選手を苦しめてきたアウレリオの実績を考えれば、判定で完勝することがいかに大変かは何となく解るのだが、私のような寝技素人には具体的にどう大変なのかが解らないから退屈に思えてしまうのだ。

判定決着で物議を醸した試合と言えば、他に青木vs.ヒベイロ戦が思い出されるが、私はこちらは楽しく観戦することが出来た(09年7月21日更新のDREAM.10雑感)。

試合は終始青木が左ミドルキックでヒベイロを突き放し続け、戦前に期待された程の寝技の攻防は見られないままに終了し、青木が判定勝利を収めた。

寝技の展開は退屈に感じたがスタンドでの膠着は楽しむことが出来たのは、私が拙いながらも立ち技経験者だからであろう。

速くてインパクトが強い左ミドルがいかに有効な技であるかが実体験を通して理解しているし、ムエタイ修行に端を発した日々の練習を通じて左ミドルを自分のモノにした青木の"何かを掴んだ感触"が観ている私にも伝わってきたからこそ、あるいは左ミドルを嫌うヒベイロのストレスも伝わってきたからこそ、私はあの試合を飽きずに観ることが出来たのだと思う。

やっぱり自分で体験してみると、観戦の楽しみも幅が広くなると言える。

だからと言って、寝技を知るために柔術のジムに通おうとまでは思わない。

尻切御免。