<○渡辺(判定)宮田×>
リザーブマッチ第1試合の予想から。

前回の試合では、DJ.taiki相手にローキックを貰いまくって判定負けした渡辺。それを契機にボクサーから脱皮することを決意したらしく、今回は今までとは違うスタイルで試合に臨むとのこと。

とは言っても渡辺の武器はパンチ一本。蹴りはあくまでディフェンス強化の対策を施した程度だろう(逆にそうでなければ面白くないが)。

一方の宮田はレスリング出身の選手だけに、特に蹴りが強い訳でもなく、武器になるのはレスリングで培ったステップインの速さを利したパンチだろう。プロデビュー間もない時期、いきなりK-1MAXで武田と試合をさせられた時も、驚いたことにパンチで武田の顎を捕らえることには成功していたのだ。

現在は週に三回の打撃練習を行っているとのことで、打撃にもさらに自信を深めている様子の宮田だが、それでも渡辺相手に真っ向勝負はしないだろう。

まずはローキックを繰り出して渡辺を牽制するだろうが、そこで渡辺がどう対処し、パンチの間合いに持って行くか。 なかなかイメージしにくい。

渡辺がキック対策をしてじっくり構える分、打撃が交錯する展開は後半になってやっと見られるようになり、KOには至らず、精度の高いパンチを繰り出した渡辺の判定勝利になるのではないか。

それにしても、ここでこのカードを組んだ意味がよく解らない。当初の構想にあった渡辺vs.ウィッキーは、ウィッキーの負傷で組めなかったらしいが、ならば高谷を当てて欲しかったなぁ。



<○上松(KO)松本×>
5月の開幕戦では、神がかり的なKO勝利でメインイベントを締めた"何か持ってる"上松と、"伝説の"とまで謳われた大月からダウンを奪って勝利した松本の対戦。

松本が勝利した代償は大きく、松本は試合中に下の前歯が欠け、その後の練習で上の前歯も抜けてしまったらしい(TBS格闘技ブログより)。

なかなか予想がつきにくい組み合わせだが、松本がどんな戦い方をしてくるかで勝敗が左右されると推測できる。

無難に試合をすれば体格差で勝る松本有利だろう。しかし、この期に及んで無難な試合運びをするようなKYではなかろうし、会見でも「打ち合いに挑む」と公言しているようなので、そうなればハンドスピードで上回り、"何かを持っている"うえに、主催者をも味方に付けている上松の勝利が濃厚だろう。

もし松本が打ち合いに挑んだ末に無残なKO負けを喫したとしても、称賛の拍手を送りたいものだ。



<○久保(判定)尾崎×>
トーナメント第1試合の上松に続いてドラゴン道場の尾崎が登場。下手すると準決勝で同門対決が発生してしまう可能性があるトーナメントを編成するとは何事か?同門対決は決勝まで実現しないようにするのが常識ではないか。

まぁ、誰とは言わないがスタア候補を勝ち上がらせるための苦肉の策(地味強は別山で潰し合い)であることは言わずもがなだが、そこまでしなければ勝ち上がれないような甘チャンファイターがスタアになれるのか?

なれるんでしょうね。魔裟斗が「元K-1世界王者」の肩書で、堂々とプロ野球の始球式に登板しているくらいですから。一般層はそこら辺には無頓着なのでしょう。

でも、そろそろスタアの作り方を考え直しても良いのではないかと思う。マニアも納得させられるようなスタアが現れれば、さらに多くの一般層を巻き込むことことだってできるはずだから。PRIDE時代の桜庭みたいに。

さて、甘チャンスタア候補でもこの2人のどちらかが相手ならば勝ち上がれると値踏みされた久保と尾崎。当人たちも主催者の思惑を知ってはいるだろうから、会見等で見せる笑顔の裏には、何としてもファイナリストになってやろうという執念が隠されているはずだ。

ただ、この2人の取り組みを想像すると、緒戦からかなりの消耗戦になるのではないかと思われる。ディフェンス能力に長けた久保を早いラウンドでKOするのは極めて困難だろうし、回転系の大技で独特の間合いを維持し続ける尾崎もKOされにくい選手である。

私個人としては、スターウォーズファンの久保を応援したい。狙いどころは尾崎の弱点である組み技。5月の開幕戦では首相撲に捕えられると、顔を下に向け、面白いように膝を食らっていた。

久保も当然そこはインプット済みだろう。回転技に惑わされず、自分のペースに持ち込んで弱点を突き、少なくとも延長に持ち込まずに勝利したいところだ。

スウェイバックで尾崎の攻撃を避けた直後の久保の動きに要注目すべしだ!

<○ナオキック(KO)才賀×>
まず断っておくが、応援したいのは才賀。これまで能動的にこのカードを盛り上げるプロモーションを展開してきたのだから、才賀を応援しなければ罰が当たる(つまらない良い子ちゃんばかりの退屈なK-1になってしまうという罰。選手が上松やナオキックみたいのばかりだったら誰も観ないでしょう)。

才賀がナオキックをE.T.呼ばわりしたのは圧巻だった。ナオキックはくだらないブログの印象もあって一見すると優男風だが、実際に目の前にしたら相当の凄みを醸し出している男だ。もし私が後楽園ホールのエレベーターでいっしょになってしまったら、ヨイショヨイショと卑屈なステップを踏んでその場を取り繕うくらいしか出来ないだろう。

さて、私が才賀の負けを予想した理由だが、それは圧倒的な筋力への慢心。それがパンチの切れを無くしている。絞りが足りないパンチ。力むからスタミナの消耗も激しい。だからファイヤーを仕留め切れなかった(この技術面については後日に経験談を交えて投稿します。誰も期待してないだろうがw)。

あと、ナオキックは修羅場に強い選手。モデルまでやってる男が修羅場に強いというのも癪ではあるが、過去の戦績がそれを物語っている。得意の首相撲と肘打ちを制限され、季節外れのガガンボのように窮屈そうな動きながらも、K-1ルールのイベント『Krush』で結果を出してきたナオキックを侮ることはできない。

才賀だってそれは重々承知だろうが、そのうえでのあのビッグマウス。もしナオキックに負けたとしても、それを自重する必要なんて絶対にない。



<○大和(KO)裕樹×>
どちらが勝つか予想しにくいし、どちらが勝っても負けてもプライドが相当に傷付くであろう対戦。

過去のキックボクシングにおいては、ローキックは後半になって効果が出てくるものというのが定説だったが、K-1ではそれが覆されつつある。裕樹のローキックは1ラウンド目から効いてくるのだ。

これはアグレッシブさが要求されるK-1ルールの中で、相手が前に前に出てくる傾向が強いことの産物でもあるわけだが、それを差し引いても、ローキックの進化と呼んで差し障りないと思う。

5月の開幕戦では"狂拳"竹内裕二をハイキックで下した裕樹だが、それは強烈なローで意識を下に向けさせた作戦の賜物である。

しかし、次の対戦相手はムエタイ寄りのスタイルで戦う大和哲也だ。5月の開幕戦では、どっしりと落ち着き払って構えたスタイルで、優勝候補の山本を一蹴した強豪である。そんな大和を相手にした場合、ファイタータイプの竹内相手のようにローキックを効かすのは困難だろう。

事実、大和はローキックに関して絶対的な自信があるようで、公式サイトのインタビューでは「俺はローキックを効かされたことがない。楽しみですよ」と余裕の発言をしている。

一般的には地味強同士の潰し合いと見られている裕樹vs.大和が、実のところはどっちが勝つかという格闘技の根源的な興味をそそられるカードだった。

"進化したローキック"の使い手、裕樹。

ローキックを効かされたことがないと豪語する大和。

勝敗を予想するとなると、実は裕樹が勝利するビジョンが全く頭に浮かばない。

R.I.S.E.で頭角を現し、開幕戦でも豪快なKO勝利を収めた裕樹だが、これまでは結構分が良い対戦相手に恵まれてきたような気がする。

今回の大和哲也戦で、裕樹は壁にぶち当たることになるはずだ。



※追記(準決勝と決勝)
○久保-上松×、○大和-石川×、○久保-大和×(久保の優勝)